「用の美」 民藝とは何か Part 3

うつわの豆知識

全国各地で、その土地の特色や文化を反映した民藝。

各地で制作されている陶磁器の一部を紹介します。

沖縄やちむん

海をイメージして描かれた
カップとソーサー
サンゴやチアナゴなど、
沖縄の風土が生かされています

鮮やかブルーベースのフリーカップ
植物が大胆に描かれたおおらかな器

やちむんと呼ばれる沖縄の焼物は、ほんわかする温かみのある器。

美しい海や自然を彷彿させる穏やかな風合いのものが揃います。

柳宗悦も、沖縄の壺屋焼を訪れ、風土や文化が融合された器たちを高く評価しています。

壺屋焼は17世紀に琉球王国の政策の一環で始まり、大正から昭和にかけて県外でも評価されるようになりました。

沖縄にはやちむんだけでなくガラスや染め物などの民藝品もあり、本州にはない独特の風合いと個性を放っています。

会津本郷焼

白色の素地に深いブルーで会津の風土をイメージした
絵付けが施されています
共に酔月窯 作

会津の陶石や土を使った会津本郷焼はシンプルで実用的なデザインが多いです。

料理が映える主張しずぎない控えめな印象。

本郷青花といわれる美しい深い藍色の染め付けが有名です。

昭和期に柳宗悦が宗像窯を見出して、民藝の焼物として知られるようになりました。

磁器、陶器の作家が混在する珍しい焼物の産地で、

各作家によって特色がありますので、自分好みの器を探すのも楽しいです。

山陰の焼物

柳とともに民藝運動を推進した河井寛次郎が島根県出身だったこともあり、山陰は民藝運動の影響を強く受けた地域です。

窯元が一地域に集中しているわけではなく、横長の山陰地方に窯元が点在しています。

松江市の湯町窯や袖師窯、出雲市の出西窯、大田市の森山窯など、民藝陶器が有名です。

出西窯

広大な敷地には、大きな工房とショップが併設されています

1947年、出雲市で5人の青年が共同で創業しました。

地名にちなんで出西窯と名付けます。

柳宗悦、河井寛次郎らの指導を受け、実用的な生活のための器を作り出します。

現在でも、地元の土や釉薬にこだわり、現代の生活に融合できる、素朴で美しいデザインの器を作り続けています。

砥部焼

唐草文様が美しい器
公水窯 作
白い素地に薄いブルーで色を付けたモダンな器
中山窯 作

始まりは17世紀初頭の陶器作りですが、18世紀後半に大洲藩の命で磁器作りに取り組み、成功します。

発展と衰退を繰り返しますが、柳宗悦、バーナード・リーチから指導を受けたことにより民窯が増え、

現在でも個性豊かな焼物が生み出されています。

砥部焼は唐草文様の器が特徴的です。

昭和30年代に梅山窯の陶工が考案したもので、その後、

各工房がそれぞれのオリジナリティーを加え、独自の文様を描いています。

おわりに

民藝運動で注目された陶磁器の中から、一部の焼物について紹介しました。

どの焼物にも、その地域の風土や文化が融合し、独特の特徴があります。

さらに、そこに作家の個性も加わり、オリジナリティーを加えています。

今後も、個性豊かなユニークな器たちを紹介できたらと思います。

ありがとうございました。

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