一つ一つ違いがあり、筆や指でラフに書いたようなゆるい模様が魅力的なスリップウェア。
スリップウェアとはどんな技法なのか、どんなうつわかなのか、
まとめてみたいと思います。
スリップウェアとは

クリーム状の化粧土(スリップ)で装飾して作られる陶器のことをスリップウェアといいます。
日本では一般的に化粧土の重ねがけによって作られるうつわとして知られています。
贅沢品といった分類ではなく、庶民のうつわとして発展したスリップウェア。
ラフな手書き感や温かみのある模様が特徴です。
調理道具としても利用されていた歴史もあり、力強く、家庭的な印象があります。
スリップウェアの歴史

紀元前から、あらゆる地域でスリップで装飾されたうつわが作られています。
中世、近世のヨーロッパではタイルや食器、調理器具などに多くスリップウェアが見られるようになります。
イギリスにおいては17世紀半ば頃から飾り皿としてスリップウェアが作られるようになります。
その後、実用品としてオーブン調理に利用されるお皿や普段の食事に使われる食器として発展していきます。
産業革命により食器なども大量生産が可能になると、スリップウェアの製造は衰退します。
再びスリップウェが注目されるのは、民藝運動を先導した柳宗悦やバーナード・リーチの活躍によります。
民藝運動については別記事でも書いていますのでご覧ください。
紀窯 長崎波佐見
波佐見町の町中から少し離れた中尾山にある窯元。
和洋様々な料理に合わせやすい、落ち着いた模様のうつわが揃います。
曲線や水玉、飾り皿のような絵柄のうつわなど、
スタイリッシュでおしゃれな印象があります。




湯町窯 島根
バーナードリーチからスリップウェアの技法を伝授された民窯としてとても有名です。
温かみのある山吹色や、深みのあるブルーの海鼠釉のうつわなど、カラフルで種類も豊富です。
目玉焼きを作るエッグベーカーも有名。
ぽってりとしたつツヤ感のあるうつわは、ほっこりとした懐かしい印象を与えます。



おわりに

日本だけでなく、イギリスを始めとした世界各地でスリップウェアが作られています。
作家さんの性格や個性が表現された、もっとたくさんのスリップウェアと出会ってみたいです。
次回も続けてスリップウェアについてもう少し調べてみます。
ありがとうございました。
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